絶縁劣化の診断

絶縁油耐電圧試験装置 第1種電気工事士

今回は絶縁劣化の診断について学習していきます。

絶縁劣化の診断

高圧ケーブルの絶縁劣化診断

高圧ケーブルの絶縁劣化を調べる一般的な方法が、直流漏れ電流測定法です。直流高電圧発生装置で導体と金属遮へい層間に印加して、漏れ電流の時間変化を記録して絶縁状態を確認します。

・危険状態

漏れ電流が減少せず、不規則で、水トリーやホール箇所に流れるキック電流が観測される。

・要注意状態

絶縁が劣化してくると、時間経過とともに漏れ電流が上昇する。

・正常状態

①ケーブルの静電容量によって充電電流が流れる。

②時間が経つと漏れ電流のみとなって一定になる。



直流漏れ電流の時間特性

変圧器の絶縁油の劣化診断

変圧器の内部に充てんされている絶縁油の劣化は、主に以下のような試験で診断します。

①外観試験・・・濁りやゴミなどがないかを点検する

絶縁破壊電圧試験・・・絶縁油耐電圧試験装置のオイルカップに採取した試料油を入れて、絶縁破壊が起きる電圧を観測する。

③全酸価試験・・・採取した試料油に中和液を入れて全酸価を測定する。診断結果で性能低下が認められたときは、油をろ過または交換します。

④水分試験・・・試料油中の水分量を測定する

絶縁油耐電圧試験装置

変圧器の絶縁油の耐電圧を測定する装置。試料油を入れるオイルカップがある。

絶縁油耐電圧試験装置

高圧進相コンデンサの劣化診断

高圧進相コンセンサは、絶縁が劣化すると内部圧が上昇して爆発の危険があるので、定期的な診断が必要です。

①外観試験・・・ケース膨れが起きていないか確認する。

②温度試験・・・温度上昇がないかを確認する。また、電路が遮断したときにコンデンサに充電されている電気を放電するために設置されている放電装置の動作特性も確認します。

①放電抵抗内蔵形・・・開路後5分以内に50V以下

②放電コイル・・・開路後5秒以内に50V以下

放電コイル

進相コンデンサには通常、放電抵抗が内蔵されていますが、放電抵抗では放電時間が5分間と長いため、自動制御などで短時間に再投入されることが多いところでは、短時間で放電できる放電コイルを設置します。

まとめ

①絶縁劣化の測定は、直流漏れ電流測定法が一般的

②時間が経っても漏れ電流が減少せず、上昇するのは要注意

③時間とともに漏れ電流が上昇して、キック電流が現れたら危険状態

④絶縁油の耐圧試験装置は、オイルカップがあるのが特徴

今回は絶縁劣化の診断について学習しました。第1種電気工事士の試験には必須の項目となりますので、よく理解しておきましょう!

 

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