今回は変圧器の運用について学習します。
変圧器の運用
変圧器の定格出力(接続できる負荷容量)
変圧器に接続できる負荷の電力容量の最大値を定格出力あるいは定格容量と呼びます。変圧器の定格出力は、励磁電流や巻線の抵抗、損失を無視すると、変圧器の二次側の皮相電力(電圧値と電流値をかけ算した見かけ上の電力)の上限値になります。
設備を設計するときには、負荷の皮相電力の合計が変圧器の定格出力以下になるようにしなければいけません。本来なら実際の消費電力である有効電力で考えるべきなのですが、有効電力は一概に求められないため、変圧器の定格出力も皮相電力で表して、簡易的に負荷容量を求めるようにするのです。なお、皮相電力は、有効電力(消費電力)を力率で割った値でもあります。
並行運転の条件
負荷に大電流を供給するために、変圧器を複数台並列につないで運転することを並行運転といいます。並行運転するには、各変圧器は以下の条件を満たさなければいけません。
①極性が等しい
②一次側と二次側の定格電圧が等しい
③インピーダンスが等しい
騒音の軽減
変圧器の巻線はお互いに電磁力をおよぼし合って引き合い、振動します。また、鉄心に使われている磁性体は、強い磁力線を受けると磁気ひずみ現象で伸び縮みして振動します。これが変圧器がうなって騒音となる原因です。騒音を軽減するには以下のような方法があります。
①磁気ひずみの少ない鉄板を使う
②構造部分の共振周波数を励磁周波数とずらす
③積層鉄心やコイルの締め付け強度を増す
④変圧器本体に防振ゴムを設置する
内部故障の検出
変電所の大型変圧器の内部故障を検出するために、次のような設備が用いられます。
①比率差動継電器(電気的に検出)
変圧器の一次側と二次側の電流を変流器で取り出し、その比率が一定以上変わったときに作動する。
②ブッフホルツ継電器(機械的に検出)
変圧器内の温度上昇で発生するガスや油の噴流を機械的に検出して作動する。
まとめ
①変圧器に接続できる負荷容量は、皮相電力VI[V・A]で計算する
②変圧器の並行運転の条件は、極性・電圧比・インピーダンスが等しいこと
③騒音を軽減するために防振ゴムを敷く
今回は変圧器の運用について学習しました。第1種電気工事士の試験には必須の項目となりますので、よく理解しましょう!
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